人類は天才だ！300万年前に誕生した人類は、他の動物たちとは一線を画していた。ヒトの次に賢いのはサルだが、彼らの頭脳は私たち人間に比べたら赤子のようなものだ。私たち人類にとって、服を着たり、読み書きしたり、自転車に乗ったりするのは簡単な事だが、サルにはこんな事はできまい。地球で2番目に賢いのにサルは人間の能力には遠く及ばない。人類から見たら、サルも犬もネズミも鳥も変わらない。人類以外の動物たちにできる事と言えば、食うか寝るか子供を産むかぐらいだ。

　私たち人類は暮らしを便利にするために、これまで色々な道具を発明してきた。石を削って包丁や槍を作ったり、粘土を焼いてわんを作ったり、とてもサルには真似できない芸当だ。そして時が進むと、鉄や火薬といった自然界に存在しない物まで発明され、人類の暮らしはどんどん便利になっていった。

　そして、石炭、石油、ガス、電気の登場で人類は強大なエネルギーを手に入れた。それまで力仕事と言えばヒトより力持ちの牛や馬が活躍していた。牛車や馬車だ。しかし、これらの化石燃料や電気により圧倒的なエネルギーを手に入れた人類にとって、もはや力仕事をするのに牛や馬は不要だ。牛や馬が束になってもできなかった仕事でも、これらのエネルギーを使った機械になら簡単にできる。身近な所で言えば、乗客1500人を大阪まで2時間で運んだり、はたまた500人をハワイまで8時間で運んだりと、すさまじい力を発揮しているが、他にも大小さまざまな現場でエネルギーを持った機械が牛や馬にはとてもできない過酷な仕事を軽々こなしている。

　そして現代文明の代名詞。コンピューターの登場だ！コンピューターは日本語にすると計算機。例えば東大生が90分かけて解く計算でもコンピューターなら1秒かからない。コンピューターはとにかく頭の回転が速い。そして記憶力も良い。コンピューターは一度覚えた事は死ぬまで忘れない。そして何個でも覚えられる。そして、この高性能なコンピューターを機械に取り付けたのがロボットだ。ロボットが登場すると、それまで人間が行っていた、あらゆる機械操作はロボットがやってくれるようになる。ロボットは人間と違って疲れないし、文句も言わないし、動きは正確でミスもしない。

　コンピューターの進化にともない、ロボットもどんどん進化している。一昔前までの常識としてコンピューターは与えられた仕事は確実にこなすが、人間のように指示を与えなくても自ら考えて行動する事は出来ないというものがあった。この違いのおかげで機械にできる仕事は機械にやらせ、機械にできない仕事は人間がやるという役割分担が出来たのだが、最近この常識が通用しなくなってきている。すなわち人間のように、指示を与えなくても自ら考えて行動するロボットが続々と誕生してきたのである。

　はじめは工場でベルトコンベアーの一か所に配置されたピッキングアームや、家庭の床を規則的な動きで掃除するロボットなど、比較的考える事が少ない仕事しかできなかったが、とにかくロボットは今もどんどん進化しているため、近い将来には人間と同じように深く考える事が出来る頭脳と、人間をはるかに超える運動能力を持ったロボットが誕生するだろう。人間のように2足歩行で自然な動きができる人型ロボットを基本としつつも、設計により安定感と力作業重視の4足歩行ロボットや、高速移動ができる車輪付きロボットといった多種多様なロボットが想像できる。

　ロボットは設計により、どんな仕事も人間より上手にこなせる。農作業や、漁業、工場での組み立て作業や検品作業、タクシーやバスの運転、船や飛行機の操縦、レストランのウェイターやホテルのフロント係、警察官となって犯罪者を取り締まったり、消防士となってビルに突入して逃げ遅れ者の救助、外科医になって末期がんの手術。あらゆる仕事を機械がやってくれるので、未来の人類は働く必要がなくなる。

　しかし人類が働く必要がなくなるという事は、サラリーマンや公務員にとっては問題だ。なぜなら働かないという事は給料が出ないという事だからだ。ロボットは人間とは違い文句も言わず、休憩も不要で24時間働いてくれて、おまけに給料もいらない、もはや従業員は不要である。ロボットの購入は最初は高いかもしれないが普及するにつれ、徐々に安くなっていき、そして安くなればさらに普及が加速する。人間は会社からどんどん追い出され、やがて会社は社長とロボットだけになる。

　これは人類の文明が進化していく過程での必然的な結果であり、遅かれ早かれ私たちがどうあがこうと避けて通る事は出来ない未来である。しかし失業問題について政府は常に注目しているし、事が大きくなるにつれ失業対策への力の入れ具合も大きくなっていくだろうし、私たち国民も政治や経済の情報を頼りに備えをしていくことで、きたるべき大失業時代を乗り越える事が出来る。

　楽天的な見方として日本中の企業が、ロボットを導入することで生産性が上がり、従業員を解雇することで給与支払いが減り、結果として日本中の企業で大幅な収入増および支出減となり、大幅な法人税増。おまけに日本中の公共施設も、ロボットを導入することで同じく生産性が上がり、公務員を解雇することで給与支払いが減り、結果として日本中の公共施設で大幅な収入増および支出減となり、剰余金が大量に発生し悲願のベーシックインカムが実現できるだろう。その額は、私たちが現在受け取っている給料と比較すると決して満足いくものではないかもしれないが、圧倒的な生産性向上の恩恵により、あらゆる農産物、工業生産物、サービス料などが安く買えるようになるため、私たちの生活費も下がるはずだ。ロボットの性能が上がるにつれて、企業の利益はもっと上がり、さらなる増税により、私たちが受け取るベーシックインカムの額も徐々に増えていくだろう。